刻の監視者6 / ねこまたぎ 忍者ブログ

ねこまたぎ

「木葉日」の徒然

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※映画『TIME』ネタでカカイル。

 暗部の気配を追うのはたぶん不可能だろう。
 わかっていながらイルカはチャクラを練っていた。素人相手に忍術もこの場合ルール違反であることももちろん承知の上で、それでも依然消えない怖気に耐えられない。
 掌に作った水の鞭で内腿に絡んでいた腕をまず叩き、次いで中心に吸い付いていた女性の額を打った。二人ともが悲鳴をあげ後ろに退いてくれたので、のしかかれていた腹と股座が自由になり安堵する。
「あらまー」
 歌う様に溜息つかれた声は聞き分けできた。疾うに成人しているだろうに、幼さの垣間見える顔立ちの女だ。他の二人はかよわく寝台の上でひっくりかえってくれたのに、彼女はまだイルカの足を掴んだままだ。
 どころか、ずいぶんと握力のある女性である。ぎりぎりとイルカの足首を締め上げてくる。
「思ったより可愛い子だったから、楽しんでからにしようと思ったのに。でも気付かれたなら話はべつ」
 女はそう言うなり舌打ちした。途端、穏やかな弧を描いていた眉と双眸がきつくつりあがり、手はイルカの足首を更に強く握る。足先に向けて引き摺られ、アンダーシャツだけの背がシーツをズルリと擦った。
 気付かれた、とはなんのことか。イルカは土壇場で他人の手に怯んだだけだ。
 イルカは女の言葉の意味を正しく解釈しようと、寝台の上で仰のいている二人を見やった。共に昏倒している。イルカは気絶するほど強くは打っていない。
 下がはだけたまま足から振り回され畳敷きの方へ投げられ理解した。唇を歪め、上から飛び掛ってきた女の専業は、遊興ではなく殺戮だろう。遊女らの意識がないのはこの女のせいだ。
 跨られ太腿を押さえつけられ、左の手で喉笛を締められ確認できた。女の手首の上、着物の袖口が乱れた場所に、チカチカと時を刻む数字が視える。紛れも無くくの一の腕であった。
 余命を刻む腕で、気道を圧迫されながら、もう片方の腕の指先に雄を擦られる。
「今からでも少しくらい気持ち良い思いをさせてあげようか。あんたに何の恨みもないからね」
 ニィっと女の口角が持ち上がり、再び性器を撫でられているが気持ちが良いどころか吐き気がこみ上げそうだ。生に執着があるなしの問題ではない。他人に肉を弄られているこの状況がとりあえず駄目らしい。触られ弄くりまわされてもしかしたら潔癖症かと己を知る。
 あまりの怖気にくの一を膝で蹴ろうとしたが、折り曲げた下肢は女の背に届かず空を打つ。捩った腰は敷布団を窪ませたのみ。弾みをつけ腹の筋肉を使いなんとか女を退けようとするが、腕力だけではない力で綿と羽毛にグイグイ押し付けられる。
 女が印を組むのを目前で見た。木の葉では見ない術が、女の体躯の重量をあげていたのだ。岩石かと思うほどに、太腿の上の女の重みが増した。
 もがくうちに左の手を持ち上げられている。胸前で斜めに固定しているのは、同じくくの一の左腕だった。
 握手でもするように掌をぴったりと密着させてくる。
 ズッシリとした脱力感が左手の先から始まった。不本意に吸い取られる感覚は何度か経験している。譲る意思で渡すのと、無理強いで奪われるのはわけが違う。生きながら血肉がずるりと吸引され、ごっそり腕ごともがれる様な不快さだ。
 見る間にイルカのチャクラの残量が減る。
 力比べは圧倒的にくの一が上だった。
 吸い取るために掌で練るチャクラごとくのいちに持っていかれ、奪われる何分の一も奪い返せない。諦めるしかないようだった。
「そう抗うな。気持ちいいまま死にたいそうじゃないか?」
 何処かで聞いたようなことを言って、くの一は右の掌でまたもイルカの性器を覆ってくる。
(そんなこと……)
 言ったのは自分だ。イルカはくの一の話が、自分とあの暗部の会話の一部か、と思い出している。ならばあの時からこのくの一は、イルカのチャクラを奪う用意をしていたのだろう。
 標的にされたのがなぜ自分、とは思わない。暗部と中忍が並んでいたら、当然容易く奪えそうな弱者に狙いを定めるだろう。
 思考するうちにも、すっかり縮み上がっていた芯を強弱つけて捏ねられていて、そこは俄かに充血していくようだった。間もなく死に至るかもしれない現状で、獣の部分とはかくも現金なものなのか、潔癖症ではなかったらしい。先刻の怯えや嫌悪はどこへやら、反応し始めた雄の部分はじっとりと湿ってきた。
 両眼は余命があと二十日ほどしかなくなった数字を見守っている。このままでは終る、それが現実なのに、目減りする命の残量に恐怖を感じるよりも、いつしか忽然とした何かを覚えて視界が潤んでいく。
 くの一の粗雑な手管でも性器が熱い。とろりとした液体が先を濡らしているのがわかる。湿りを増したのは局所だけではなく全身に汗が噴いていた。
 窓からの夕日が今日の最後の灯りを注ぎきり、尽きたように消えていく。落日に室内は薄墨を巡らせたような色に染まっていく。部屋の天井に照明はあったがスイッチは入れられていない。濃くなる一方の闇の中、くっきりと輝いているのは忍び二人分のチャクラの残量だけだった。
 余命が七日をきったところから、イルカの心拍数は急激にあがった。血の集まった幹が切迫している。このままのペースでチャクラを奪われ続ければ、数分も命は持たないだろう。弾ける前に息絶えるかもしれないというのに、あの瞬間の快感を仮想して腰の辺りまで産毛が逆立った。
「かわいい子、このまま出したげる? それとも私ん中にいれたげようか?」
 問いかけられて首を横に振る。どちらも真の願いとは異なるような気がしたからだ。だが逆転や命乞いの手段を練るでもなく、ただ怒張した性器の快を受けとめながら、減るばかりの数字を見守っている。
 覚えているのは恍惚に近い。絶望的な危機で萎えない自分が我ながら可笑しかった。
「っ……あぁっ」
 イルカの口から蕩けた息がこぼれ、脚の付け根でぐちぐちと淫靡な濁音が鳴った。眼はまだチャクラの数字を見つめている。残りはもうあと一日分だ。ここまできてくの一は薄笑いしながら奪う速度をゆるめてきた。
 イルカはとどめを焦らされ、射精まで焦らされたような錯覚に陥った。疼いていく一方の性器をもてあまし、尻を捩って喉から叫んだ。
「たすけっ……」
 何から救って欲しかったのか、イルカは明確にわからなかった。ただこの状況が理不尽に思えたから助けを請う。
 奪いつくすなら一気にやって欲しかったし、性器の解放も待ちわびていた。
 未成熟な鎌首が震え、昇天に至らぬ粘液が勢い飛んで腹が濡れた。
 直後、その上をまるで洗うように生暖かい飛沫がボタボタと垂れてきた。同時に太腿に跨っていたくの一の、岩のような重みが忽然と失せていた。
 くの一の身体は添い寝でもするようにイルカの真横に転がっている。
 その向こう、仄暗い部屋の畳に白い足が生えていた。
 見上げると抜刀したままの少年が立っている。闇に浮かぶ戌の面の白地と、ふわりと立った銀髪が灯りのように背景から浮いていた。
「なんでもっと必死に抵抗しない。マゾかおまえはっ!」
 憎々しげにイルカを罵ってくる暗部は、長刀を縦に振り、刃に滴る鮮血をきったようだった。


2012.06.17初出

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